ロック名曲セレクション



君の友だち
  キャロル・キング

なごみ
ダンス
ソウル

原題 You've Got A Friend
リリース 1971年
作詞・作曲 キャロル・キング
プロデュース ルー・アドラー
演奏時間 5分8秒
収録アルバム 「つづれおり」(エピック/1971年)
ミュージシャン キャロル・キング(ボーカル、ピアノ)、ジェイムス・テイラー(ギター)、ダニー・クーチ (コンガ)、チャールズ・ラーキー(ストリング・ベース)、バリー・ソッカー(バイオリン)、デビッド・キャンベル(ビオラ)、テリー・キング(チェロ)

 

[レビュー]

 キャロル・キングは、1942年生まれ、ニューヨーク、ブルックリンの出身。1960年代の初頭に当時の夫であるジェリー・ゴフィンとのコンビ(ゴフィン&キング)で音楽活動を開始したキャロルは、シュレルズの全米ナンバーワン・ヒット「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロー」を皮切りに、ドリフターズの「アップ・オン・ザ・ルーフ」やクッキーズの「チェインズ」(ビートルズデビュー・アルバムの中でカバー)など多くのヒット曲を生み出し、60年代初めのアメリカン・ポップ・シーンを代表するソングライターの一人として名声を確立する。

 (ビートルズのレノン&マッカートニーが、デビュー当時「イギリスのゴフィン&キングになりたい」と語っていたことはあまりにも有名である)

 その後、ジェリー・ゴフィンと離別したキャロルはベーシストのチャールズ・ラーキーと結婚し、ラーキーやソングライター仲間のジェイムス・テイラーらによるサポートを受けて、1971年に傑作アルバムと名高い「つづれおり」をリリースする。

 本ナンバー「君の友だち」は、「つづれおり」に収録されたバラッド・スタイルのナンバーだが、1971年のグラミー賞最優秀楽曲部門で受賞するなど、キャロル・キングの代表作であるとともに、彼女の作曲能力が最も高く評価された作品の一つである。

 曲は、キャロル自身によるピアノの弾き語りにギターと弦楽四重奏を重ねたシンプルな編成によって演奏される。マイナー・コード主体の曲調で始まり、さりげない流れのなかでメジャーの旋律へ転じていくこの曲のメロディ・ラインの美しさは、ヒット・メーカーとして知られるキャロル・キングの作品の中でもベスト作の一つに挙げられよう。

 元来、キャロル・キングは、ゴスペルやリズム&ブルースなどの黒人音楽をベースに、西洋音楽の音階的な美しさを巧みにブレンドすることで独自の作風を生み出してきたソングライターだが(きわめて類似する作曲キャリアを持つレノン&マッカートニーがキャロル・キングを目標とする作曲家の一人に掲げたことは偶然ではあるまい)、とりわけ「君の友だち」においては、西洋のクラシック音楽的な美しさが前面 に表出している。 特に、歌詞の展開に応じ、マイナーな曲調からメジャーな旋律への美しい転回が繰り返される曲の出だしから中盤にかけては、18世紀ヨーロッパのオペラの旋律を思わせるかのような優美な臨場感を強く感じさせる。

 一方、キャロル・キングのボーカリストとしての特徴は、ビブラートをほとんど使わず、独特の固さを感じさせる特有の歌唱法に求められる。この声の固さは、先達である多くの黒人ミュージシャンから作曲と歌唱の両面 にわたる影響を受け続ける中で自然に醸成されたものと想像されるが、また、キャロル・キングが他のいずれの白人女性シンガーとも異なる独自のソウルフルなロック・ボーカル・スタイルを創り上げるうえでの決定的な要因を成すものとも考えられる。キャロルの歌声における独特の「固さ」或いは「強さ」がもたらす彼女のボーカリストとしての魅力は、本ナンバー「君の友だち」においても十分に堪能することができる。

 

[モア・インフォメーション]

 アルバム「つづれおり」(原題は "Tapestry")は、「君の友だち」に加え、シュレルズのナンバーワン・ヒット「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロー」やアレサ・フランクリンの代表曲「ナチュラル・ウーマン」のセルフ・カバー・バージョン、全米チャートで第1位 を獲得した「イッツ・トゥー・レイト」(1971年のグラミー賞レコード部門で受賞)、ロッド・スチュワートらのカバーで知られる「去りゆく恋人("So Far Away")」などの名曲、話題曲を数多く含み、オリジナル・アルバムであるにもかかわらず、編集されたベスト・アルバムかと錯覚させかねないほどの豪華なラインナップとなっている。

 圧倒的なクオリティを誇る収録曲を揃えた「つづれおり」は、1971年の発表以来、6年間にわたってアルバム・チャート入りを続け、70年代を代表する名作アルバムの一つとして不動の評価を得ているほか、ジェイムス・テイラーの「スイート・ベイビー・ジェイムス」(1970年)とともにシンガー・ソングライターの時代の幕開けを告げたアルバムとして聴き継がれることとなった。

 なお、キャロル・キングは、マライア・キャリー、セリーヌ・ディオン、アレサ・フランクリンらの豪華メンバーが顔を合わせた第1回の「ディーバズ・ライブ("Diva's Live")」にゲスト・シンガーとして出演している(このコンサートは、1998年にビデオ作品としてリリースされた)。

 コンサートの中で、映画「タイタニック」の主題歌を歌い終えたセリーヌ・ディオンが、「誰にもアイドルがいると思うけど、私のアイドルはこの人です」と言ってキャロル・キングを聴衆へ紹介する場面 がある。セリーヌやビートルズに限らず、音楽を愛するすべての人にとって、キャロル・キングは永遠のアイドルなのである。

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