ロック名曲セレクション


悪いあなた
  リンダ・ロンシュタット

なごみ
ダンス
ソウル

原題 You're No Good
リリース 1974年
作詞・作曲 クリント・バラード・ジュニア
プロデュース ピーター・アッシャー
演奏時間 3分40秒
収録アルバム 「悪いあなた」(キャピトル/1974年)
ミュージシャン リンダ・ロンシュタット(ボーカル)、エディ・ブラック(ギター)、アンドリュー・ゴールド(ギター、エレクトリック・ピアノ、ドラムス、パーカッション)、ケニー・エドワーズ(ベース)、シャーリー・マシューズ(コーラス)、クライディ・キング(コーラス)、グレゴリー・ローズ(ストリングス・アレンジメント&指揮)

 

[レビュー]

 カントリー・ロックの女性ボーカリストとしてそのキャリアをスタートしながら、やがて次第に自らの音楽ジャンルの幅を広げ、ロックンロール、スタンダード・ポップスからラテン・ミュージックまでを手掛けるに至ったリンダ・ロンシュタットは、今やバーブラ・ストライサンド、ベット・ミドラーらと並んで米国のポップス界を代表する女性シンガーの一人と言えるだろう。

 リンダ・ロンシュタットは、1946年7月15日生まれ、米国アリゾナ州南部のツーソンの出身。ハイスクール時代にバンド活動を開始し、アリゾナ大学の在学中に知り合ったギタリストのボブ・キンメルとともにロサンゼルスへ向かったリンダは、この地で出会ったケニー・エドワーズを加えてトリオ編成によるストーン・ポニーズを結成する。

 キャピトルに3枚のアルバムを残し、また、モンキーズのマイク・ネスミスが作曲した「悲しきロック・ビート」(原題は "Different Drum")がシングル・ヒットしたストーン・ポニーズだが、やがてソロ・シンガーへの転身を決意したリンダは1968年にグループを離脱。翌年の1969年にファースト・ソロ・アルバムの「ハンド・ソーン・ホーム・グローン」("Hand Sown, Home Grown")をリリースしてソロ・デビューを果たす。

 その後、サード・アルバム「リンダ・ロンシュタット」(1971年)のなかでグレン・フライ、ドン・ヘンリー、ランディ・マイズナーらのサポート・メンバーとともにカントリー色の豊かなロック・ナンバーを展開したリンダは、カントリー・ロック界の歌姫的な存在として自らのポジションを確立する。(このアルバムのサポート・メンバーは後にイーグルスを結成している)

 続くアルバムの「ドント・クライ・ナウ」(1973年)でもカントリー・ロック主体のサウンド構成をさらに充実させて人気を高めていくリンダだが、彼女のロック・シンガーとしての人気と実力が全米規模で初めて認識されたアルバムは、次作の「悪いあなた」(原題は "Heart Like A Wheel")と言ってよいだろう。

 元ピーター&ゴードンのピーター・アッシャーをフル・プロデューサーに起用したアルバム「悪いあなた」(1974年)は、それまでのカントリー・ミュージックにこだわりすぎとも思えたサウンドを一新してアルバム全体に都会的で斬新なアレンジをもたらし、それが張りと艶のあるリンダ・ロンシュタットの歌声をいい意味で引き立てることになった。ここに至ってリンダの人気と存在感は、カントリー・ロック界のみにとどまらず、全米規模で注目を集める女性シンガーへと大きくランク・アップすることになったのである。

 本ナンバー「悪いあなた」は、アルバム「悪いあなた」からシングル・カットされ、全米のシングル・チャートで第1位 を獲得した大ヒット・ナンバーである。また、この曲は、リンダ・ロンシュタットの人気を決定づけるうえで最も重要な役割を果 たしたシングル・ナンバーと言えるだろう。

 曲は、重みのあるドラムスとギターによるリズム・セクションのイントロからスタートしてリンダのボーカル・パートへと引き継がれる。曲全体の印象としてはブルースの影響を受けた旋律の流れが耳に残るが、エレクトリック・ピアノやストリングスが要所を締めるアレンジからは都会的でポップなサウンドとの印象が強く、リズム的にもブルージーなタメの深さは感じられない。むしろ、旋律がブルース的であるにもかかわらず、ストレートなロックのリズムに乗せて洗練されたサウンドの中で曲が進行していると言うべきであろうか。

 工夫を凝らしながらも必要以上のゴージャスさを感じさせないコンパクトで洒落た演奏をバックに、リンダのボーカルは彼女本来の力強さと伸びやかさを発揮し、それまでのカントリー・サウンドを重視したアルバム制作時代とはひと味違ったボーカリストとしての魅力を引き出している。「悪いあなた」の成功が、その後のリンダ・ロンシュタットのシンガーとしての大きな飛躍をもたらすきっかけとなったことは否定できないと言ってよいであろう。

 

[モア・インフォメーション]

 アルバム「悪いあなた」は、本ナンバーの「悪いあなた」に加え、シングル・ヒットとなった「いつになったら愛されるのかしら」や「もうおしまい」(作曲はポール・アンカ)、また、リトル・フィートの「ウィリング」やジェイムス・テイラーの「目を閉じてごらん」、カントリー・ロックの父と呼ばれたグラム・パーソンズの追悼曲「ダーク・エンド・オブ・ザ・ストリート」などの話題曲を含み、アルバムそのものも全米のアルバム・チャートで第1位 へ到達するなどリンダ・ロンシュタットの代表作となった。

 リンダは、その後もピーター・アッシャーのプロデュースによって「哀しみのプリズナー」(1976年/"Prisner In Disguise")、「風にさらわれた恋」(1976年/"Hasten Down The Wind")、「夢はひとつだけ」(1977年/"Simple Dreams")などのクオリティの高いアルバムを発表し続ける。また、「哀しみのプリズナー」からのシングル・カット「ひとすじの涙」や、「風にさらわれた恋」に収録されたバディ・ホリーのカバー曲「ザットル・ビー・ザ・デイ」など、これらのアルバムからは多くのシングル・ヒット・ナンバーが生み出されている。

 さらにリンダ・ロンシュタットは、1983年の「ホワッツ・ニュー」("What's New")に始まる3枚のアルバムでネルソン・リドル・オーケストラと競演し、スタンダードなポップス・ナンバーに挑戦する。これらのアルバムのなかでリンダは、ネルソン・リドル・オーケストラの美しい伴奏に乗せて「星に願いを」や「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」などのポップス・スタンダードを華麗に歌い上げている。

 また、90年代に入って制作したアルバムではスパニッシュ系のラテン・ミュージックを取り上げるなど、リンダ・ロンシュタットは、音楽ジャンルを問わず、今やトータルな女性ポップス・シンガーとして幅広い音楽活動を繰り広げているのである。

 ・関連ページ リンダ・ロンシュタットのリンク集

 ・関連ページ ビートルズ関連アーティストのリンク集へ(ピーター&ゴードンの特集サイトを含みます)

 ・関連ページ イーグルスのリンク集

 

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