ロック名曲セレクション



風に吹かれて
  ボブ・ディラン

なごみ
ダンス
ソウル

原題 Blowin' In The Wind
リリース 1963年
作詞・作曲 ボブ・ディラン
プロデュース ジョン・ハモンド
演奏時間 2分47秒
収録アルバム 「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」(ソニー/1963年)
ミュージシャン ボブ・ディラン(ボーカル、ギター、ハーモニカ)

 

[レビュー]

 ボブ・ディランのセカンド・アルバム「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」のオープニングを飾るナンバーであるとともに、プロテスト・ソングの古典としても知られる名曲。

 曲は、アコースティック・ギターの弾き語りの形をとって進行し、ほぼ同じ文型で歌われる複数の問いかけを繰り返しながら、「その答えは風に吹かれている」というリフレインによって必ず締めくくられる。歌詞の内容からは具体的な抗議のメッセージを直接的に感じ取ることはできないものの、その抽象性と感情を切り離したかのように歌うディランの静謐なボーカル・パートがこの曲の発するテーマの奥深さを物語る。

 フォーク・シンガーとしてスタートしたディランの初期の楽曲の特徴は、早いテンポで展開するこの曲の独特のリズム感の中にも表れており、ロックやブルースの規則正しいリズムを聴き慣れたリスナーにはやや違和感を与えるものであろう。この後のディランが、「ミスター・タンブリンマン」や「女の如く」といった代表的なナンバーでブルースやロックのリズムへ急速に接近していくことを思うと、この時期のディランの楽曲上の特徴を伝える作品という一面 においても、この曲は興味深く感じられる。

 同じ文型を繰り返しながら単語を取り替えて歌詞を繋ぐ手法の作品としては、必ずしもこの曲がポップス史上の初めてのヒット・ナンバーではないだろうが、この曲の登場後、60年代半ば以降のジョン・レノンの作品に同じスタイルの楽曲が急増していることは決して偶然とは思えない(例えばビートルズ時代の「愛こそすべて」や「ビコーズ」。ソロ時代の「ラブ」や「イマジン」など)。

 特に、ともにプロテスト・ソングの代名詞的ナンバーでありながらも決して攻撃的なアジテーションではないこと、及び、テーマの普遍性が音楽としての美しさと見事に調和していることなどの共通点を考えると、「風に吹かれて」がジョン・レノンの「イマジン」に与えた影響は決して小さくないものと思われる。

 

[モア・インフォメーション]

 多くのミュージシャンによってカバーされている「風に吹かれて」だが、1963年の夏にリリースされたピーター、ポール&マリーのカバー・バージョンが中でも最も有名であろう。ディランのオリジナルと較べてかなり素直な歌い方をしているせいか、日本国内でのこの曲のカラオケ版にはほとんどピーター、ポール&マリーのカバー・バージョンが採用されている。

 1992年にマジソン・スクウェア・ガーデンで開催されたボブ・ディランのデビュー30周年を祝うトリビュート・コンサートにおいてこの曲を歌ったのはスティーヴィー・ワンダーである。「60年代のベトナム戦争、70年代のウォーターゲート、80年代のビコの悲劇、90年代の湾岸戦争など、この曲が歌われ続けることの背景にあるものが僕には悲しい」という演奏前のスティーヴィーのMCがリスナーの感動を誘った。

 この曲を含むアルバム「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」には、ほかにも「北国の少女」、「戦争の親玉 」、「はげしい雨が降る」、「くよくよするなよ」など、ディランの代表曲が数多く収録されている。特に「北国の少女」は、アルバム「ナッシュビル・スカイライン」(1969年)の中でディラン自身がジョニー・キャッシュとのデュオでセルフ・カバーしているほか、ロッド・スチュワートのカバーでも知られるなど人気の高いナンバーの一つである。

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