ロック名曲セレクション


ブラック・マジック・ウーマン
  by サンタナ

なごみ
ダンス
ソウル

原題 Black Magic Woman
リリース 1970年
作詞・作曲 ピーター・グリーン
プロデュース フレッド・カテロ、サンタナ
演奏時間 3分40秒(「ジプシー・クイーン」のメドレー部分を除く)
収録アルバム 「天の守護神」(CBS/1970年)
ミュージシャン カルロス・サンタナ(ギター)、グレッグ・ローリー(キーボード、ボーカル)、デイヴ・ブラウン(ベース)、マイク・シュリーヴ(ドラムス)、ホセ・アリアス(ティンバル、コンガ)、マイク・カラベロ(コンガ)

 

[レビュー]

 ラテン・ロックのヒーローとしてロック史上に輝かしい足跡を残すサンタナは、ギタリストのカルロス・サンタナを中心に米国サンフランシスコで結成され、1969年にデビュー・アルバムの「サンタナ」("Santana")を発表してレコーディング活動を開始した。

 情熱的なラテンのパーカッションがエネルギッシュで渦巻くようなリズム感を生み出すデビュー・アルバムの「サンタナ」は当時のロック界に大きな衝撃をもって迎えられ、このアルバムは全米チャートのトップ5入りを果 たすとともに、「ジンゴー」と「イーヴル・ウェイズ」の2曲のシングル・ヒットを生み出すなどの大きな成功をグループにもたらした。

 順風満帆なスタートを切ったサンタナは、翌年の1970年にセカンド・アルバムの「天の守護神」をリリースする。大ヒットを記録したものの、わずか3週間でレコーディングを完了したデビュー・アルバムのクオリティに満足していないサンタナのメンバー達は、「天の守護神」の制作をベテラン・エンジニアのフレッド・カテロに委ねる。

 フレッドとサンタナの共同プロデュースとクレジットされた「天の守護神」は、デビュー作の情熱的なラテン・ロックのノリをストレートに継承しつつも、前作には見られなかった落ち着きと緻密さをサウンド全体に行き渡らせることでグループとしての貫禄や風格までをも感じさせる充実したアルバムとなった。彼らのセカンド・アルバム「天の守護神」は、まさしくラテン・ロック・バンドとしてのサンタナの自信とプレイ・スタイルの両方を確立したアルバムと言ってよいであろう。(全米アルバム・チャートで第1位 を獲得)

 本ナンバー「ブラック・マジック・ウーマン」は、「天の守護神」からのシングル・カット・ナンバーであり、全米チャートの第4位 へ到達する大ヒットを記録するとともに、 ブルージーな旋律の流れ、ラテンのパーカッション、カルロス・サンタナの官能的なギター・ソロなど彼らの魅力が詰め込まれたサンタナのシンボルとも言うべき代表曲である。

 曲は、キーボードのイントロからスタートしてカルロス・サンタナのリフを思わせるギター・フレーズに引き継がれ(リフの形を取りながらも曲の主題を構成する)、やがてギターに導かれて走り出すグレッグ・ローリーのボーカル・ラインへと展開する。曲の屋台骨はベース・ラインとパーカッションのリズム・トラックによって構成されるが、その上を走るボーカルの主旋律にキーボードとギターのオブリガートが重なることで曲の華やかなイメージを演出していく。

 間奏のソロ・パートではカルロス・サンタナのリード・ギターを堪能することができるが、しなやかさの中にも独特のタメをもってプレイするカルロスのギターは、ピュアなロックやブルースとは異なるユニークな躍動感を生み出し、これが独特の甘さと切なさをたたえる個性的なフレージングと相俟ってカルロス特有の官能的とも呼ばれるギター・プレイを創り上げている。

 ラテン音楽に特有の打楽器を生かしたアレンジ、キーボードを交えた曲全体を貫くグルーヴ感、カルロスのギターが生み出すハイトーンで刺激的なソロ・パートなど、いずれの側面 からも「ブラック・マジック・ウーマン」は、ロック史上に残るラテン・ロックの名曲と言えるだろう。

 

[モア・インフォメーション]

 サンタナの「ブラック・マジック・ウーマン」は、フリートウッド・マックがアルバム「英吉利の薔薇」(1969年/アメリカ編集盤)の中で発表した同名ナンバーからのカバー・バージョンである。当時のフリートウッド・マックは、この曲の作曲者であるピーター・グリーンを中心にブルース・ロックをプレイしていたロック・バンドだが、この曲のオリジナル・バージョンを聞くと、ミック・フリートウッドのドラミングの特徴からもブルース的なリズムの枠内にはおさまり切らないユニークな楽曲であることがわかる。

 サンタナがこの曲を取り上げた経緯としてピーター・グリーンとサンタナのメンバーとの交友関係がその背景にあると言われているが、そもそもこの曲のオリジナリティの中にはラテン・ロックにもアレンジしうる楽曲としての間口の広さが備わっていたように感じられる。

 サンタナは、1971年にサード・アルバムの「サンタナIII」("Santana III")を発表し、このアルバムからグループに加わったニール・ショーン(後にジャーニーに参加)が17歳の天才ギタリストとしてファンの注目を集める。また、その後も継続してアルバムを発表し続けるサンタナは、1976年に中期の代表作と言われるアルバム「アミーゴ」("Amigo")をリリースし、このアルバムからはサンタナのもう一つの代表曲とも言うべき「哀愁のヨーロッパ」("Europe")が生み出されている。

 サンタナのさらなる音楽上の成功は、デビューから30年を経てリリースされたアルバム「スーパーナチュラル」(1999年/"Supernatural")によってもたらされる。エリック・クラプトン、ローリン・ヒルなどのスーパースターを迎えて制作された「スーパーナチュラル」は、全米アルバム・チャートの第1位 に輝くとともに2000年発表のグラミー賞最優秀アルバム部門を含む8部門を独占するという快挙を成し遂げている。

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