ロック名曲セレクション


長い夜
  by シカゴ

なごみ
ダンス
ソウル

原題 25 Or 6 To 4
リリース 1970年
作詞・作曲 ロバート・ラム
プロデュース ジェイムス・ウィリアム・ガルシオ
演奏時間 4分49秒(アルバム収録バージョン)
収録アルバム 「シカゴ II(シカゴと23の誓い)」(コロンビア/1970年)
ミュージシャン ロバート・ラム(ボーカル、キーボード)、テリー・キャス(ボーカル、ギター)、ピーター・セテラ(ボーカル、ベース)、リー・ロックネイン(トランペット、ボーカル)、ジェイムズ・パンコウ(トロンボーン)、ウォルター・パラゼイダー(木管楽器、ボーカル)、ダニエル・セラフィン(ドラムス)[曲別 のクレジットがないためアルバム全体のクレジットを転記]

 

[レビュー]

 ロック・ミュージックにホーン・セクションを導入したブラス・ロックのグループとして最もメジャーな成功を成し遂げたと言ってよいシカゴは、1967年に米国イリノイ州のシカゴで結成された。オリジナル・メンバーは、ロバート・ラム(ボーカル、キーボード)、テリー・キャス(ボーカル、ギター)、ピーター・セテラ(ボーカル、ベース)、リー・ロックネイン(トランペット、ボーカル)、ジェイムズ・パンコウ(トロンボーン)、ウォルター・パラゼイダー(木管楽器、ボーカル)、ダニエル・セラフィン(ドラムス)の7人。

 バンド結成の翌年にロサンゼルスへ移住した彼らは、ブラス・ロックの先輩格であるブラッド・スウェット&ティアーズのアルバム・プロデュースで実績をあげたジェイムス・ウィリアム・ガルシオをプロデューサーに迎え、1969年にLP2枚組のアルバム「シカゴの軌跡」("Chicago Transit Authority")をコロンビアから発表してレコード・デビューを飾る。

 (デビュー当時のグループ名は "Chicago Transit Authority" であった。これは、メンバーと同じくシカゴ出身のプロデューサー、ジェイムス・ウィリアム・ガルシオが学生時代に通 学していたバスの路線名にちなんで付けたバンド名と言われる。また、彼らはセカンド・アルバムのリリース時にグループ名を短縮して「シカゴ」に改めているが、シカゴ市の交通 局よりデビュー時のグループ名に対してクレームが付いたためと伝えられる)

 4曲のシングル・ヒットを生み出すなどの成功を収めたデビュー・アルバムに続いてリリースされたシカゴのセカンド・アルバムが、「シカゴ II(シカゴと23の誓い)」である。各ソングライターの作曲のバリエーションとバンド全体のアレンジ能力が飛躍的に向上した感のある「シカゴ II(シカゴと23の誓い)」は、全米アルバム・チャートの第4位へ上昇するとともに「長い夜」を含む3曲のシングル・ヒットを生み出すシカゴの出世作となった。

 本ナンバー「長い夜」は、「シカゴ II(シカゴと23の誓い)」からシングル・カットされて全米ポップ・チャートの第4位 へランク・インしたデビュー当時のシカゴを代表するヒット・ナンバーである。

 曲は、ベースとドラムスだけの緊張感あふれるイントロでスタートしてブラス・アンサンブルへ引き継がれ、やがてハイトーンで同じ主題を歌うピーター・セテラのボーカル・パートへと展開する。その後もイントロに登場したリズム・パートが一貫して主題部分を支え続けるが、曲名をシャウトする展開部に至るとリズム・セクションが後退し、同時にバック・コーラスとオブリガート風のギター・フレーズが挿入されて曲のイメージに変化が加えられる。しかしながら、リズム・セクション、ホーン・アンサンブル、ボーカル・ラインが主軸となって構成する曲の表情は一貫してタイトかつシャープであり、ハード・ロックと呼んでも違和感がないほどの緊張感の中で曲全体が進行していく。

 デビュー当時のシカゴのメンバーは、彼らをブラッド・スウェット&ティアーズと比較したがるマス・メディアの風潮に対し「ブラッド・スウェット&ティアーズはジャズ・ロックのグループだが、シカゴはブラス・サウンドを取り入れたロックンロール・バンドだ」と主張して、その違いをアピールしたと伝えられる。確かに、アル・クーパーのオルガン・プレイを中心にジャズやブルースの影響が色濃く感じられるブラッド・スウェット&ティアーズに対し、シカゴのサウンドはホーン・セクションを多用するもののジャズ的な要素には乏しく、直線的なロックのリズムを小細工なくストレートに体現している点にその特徴が見い出される。

 イントロから鳴り続けるリズミカルなベース・プレイ、テクニックよりもタイトなリズム感を重視するホーン・アンサンブル、そしてアップテンポのフィンガリングで独創的なフレーズを生み出すテリー・キャスのリード・ギターが耳に残る「長い夜」は、シカゴが創り上げた文字通 りのブラス・ロック・サウンドを堪能できる彼らの代表曲と言うべきであろう。

 

[モア・インフォメーション]

 アルバム「シカゴ II(シカゴと23の誓い)」からは、「長い夜」のほか「ぼくらに微笑みを」(全米ポップ・チャートで第7位 )と「ぼくらの世界をバラ色に」(同第9位)の2曲がシングル・カットされ、そのいずれもがヒット曲となった。また、チャート入りは果 たしていないもののピーター・セテラがソングライターとしてのデビューを飾ったシングル曲「約束の地へ」がアルバムのエンディングに収められるなど、「シカゴ II(シカゴと23の誓い)」はシカゴのファンにとって忘れ難い作品となっている。

 その後も、シカゴは同一のグループ名のロゴをカバー・ジャケットに用いるシンプルなデザインのアルバムをリリースし続け、その中から「シカゴ V」("Chicago V"/1972年)、「遥かなる亜米利加」("Chicago VI"/1973年)、「市俄古への長い道」("Chicago VII"/1974年)の3枚が連続して全米アルバム・チャートの第1位に輝く。また、これらのヒット・アルバムからは、「サタディ・イン・ザ・パーク」、「愛のきずな」、「君とふたりで」などの多くのシングル・ヒット・ナンバーが生み出された。

 なお、1978年にギタリストのテリー・キャスが不慮の事故で他界し、また、ソングライター兼ボーカリストとしてグループの大黒柱に成長したピーター・セテラがソロ・シンガーのキャリアを求めて1985年にグループを離れるなどオリジナル・メンバーの離脱が相次いだシカゴだが、彼らはその都度新たなメンバーを補充して活動を継続し、デビューから30年以上を経た今日においてもシカゴの軌跡がその終幕を迎える様子はまったく感じられないのである。

 ・関連ページ シカゴのリンク集

 ・関連ページ シカゴのメンバー別リンク集

 ・関連ページ ブラッド・スウェット&ティアーズのリンク集

 

サーチ:
Amazon.co.jpアソシエイト
シカゴのCD、DVD、ビデオ、関連書籍を探してみよう

 

 


 [トップページ] [名曲セレクションのインデックス]

Copyright (C) 2003-2004 SWING ART. All rights reserved.

初心者に優しいレンタルサーバ